【書評】プラスチックの恋人 / ヒトはモノにも欲情する【ネタバレ・考察】

いつの日か、AIが人間にとって代わる時代が来る。
その時わたしたちは思い知ることになるだろう。
人と人形の境界は有機体か人工物の違いだけなのだと。
皆さんこんにちは、イオリです。
今回はですねぇ、自分の性癖に素直な作品を紹介したいと思います。
『プラスチックの恋人』というタイトルの本なんですけど、表紙とタイトルから分かる人もいると思うんですが、ちょっと特殊な性癖の本になっています。
「攻殻機動隊」・「ガンスリンガーガール」・「電気羊はアンドロイドの夢を見るか」・「空の境界」などなど、『人形』を題材とした作品は多数存在する。
基本、有名な作品は直接的なエロティック描写が描かれないわけだが、本作ではガッツリ描かれている。
それも結構生々しい感じで…笑
今回は私の性癖と交えて本作を紹介したいと思います。
それでは、ゆっくりバリバリいきましょう♪
あらすじ
さて、本作の内容についてだが、フリーライターの女性がセックス用アンドロイドのミーフくんと出会うことから始まる。
表紙の彼がミーフくんだ。
正直癖に刺さるショタ具合だと、改めて思う。
彼は未成年という設定のアンドロイドで、違法風俗店で働いている。
もちろん主人公とのベッドシーンもちゃんとあるので、そこは期待してほしい。
魂とAI
詳細は端折るが、物語の終盤で違法風俗店は摘発され解体される。
当然ミーフくんもリストラされ、性的機能は全て取り外された状態で、パパ(風俗店オーナー)と暮らすことになる。
そこに主人公が訪れて、少し会話をして物語は幕を閉じるわけだが…。
主人公のことを気遣うような会話をするミーフくんを見て、私はいずれ彼に『ゴースト』が宿るのではないかと妄想した。
AIのアルゴリズムが人の気遣いを覚えて、そう話しているだけ、と作中では言っているが、彼にはちゃんと感情があるように思えてならない。
何が人を人足らしめるのか…中身のない空っぽの人間は、限りなく人間に近いロボットなのか?
昨今のAI分野は物凄い速さで進化していると思う。
それこそ、あと2~3年したら問題なく会話できるAIが完成して、それをロボットにインストールすることで、アンドロイドが完成するんじゃないかとさえ思う。
話が少し逸れてしまったが、何が言いたいかと言うと
- ミーフくんは風俗店で働くうちに不特定多数の人間と接触しすぎた。
- 人の感情の機微をAI学習したことで、0が1になるように自我が芽生え、今はまだ開花しないが、いずれ感情というものを学習し、コントロールするんじゃないかと考えた。
- よくある話で、私たちは肉体と精神と魂で構成されていると言われるが、魂の存在を証明した人はいまだに存在しない。
- そんなスピリチュアルな存在が、モノに宿ることがあるのだろうか?
- 日本人は付喪神という概念を信じていた時期がある。
- これは古くから大切に使われていたモノに魂が宿るという概念だ。
- AIが発展し、アンドロイドとなり、高速学習して魂を得れば、地球という星はヒトではなく彼らアンドロイドの星となるだろう。
人形を愛でるのはヒトの特権
私の妄想はここまでにして、ここからはヒトの欲について語りたいと思う。
本来ヒトという種族は『生きること・増えること』を目的として、この星に暮らしている。
非生産的な性欲は本来は不要なはずなのに、なぜ現代になっても風俗店やラブドールが無くならないのか?
脳から出るエンドルフィンがそうさせるのか? それとも生物としてのバグなのか?
人に見立ててつくられた人形を見ると、恐怖を覚えるのは外見が似ているからだけではないはずだ。
もっと根源的な何か…たとえば、ヒトと人形の境界なんてものはすごく曖昧で、バランスが崩れれば私たちは人形の仲間入りしてしまうことが怖いからとか。
ちょっとオカルトチックに聞こえるかもしれないが、私は大真面目だ。
実家にある市松人形を子供の頃恐れていたのは、そういうことなのかもしれない。(今でも実家で見るとビクッとするのは内緒だ苦笑)
思うにヒトが人形を愛でるのは、自分の方が上だぞとマウントを取るためなのかもしれない。
そう考えると、自分たちでつくったものにとって代わられそうに感じるとか、ヒトは歪な思考回路をしているから、やはりバグなのかもしれない笑
チラシの裏の締めくくり
私の書きたいことを書いた。
正直話は散らかっているし、文章はめちゃくちゃだけど、自己満足している。
本書は刺さる人には刺さるが、万人受けはしない内容だ。
それでもオススメしたいから記事を書いた。
どうか手に取って、健気な少年を演じるミーフくんを見て、可愛いという感情を共感できれば幸いである。